2009年7月27日月曜日

9. 真福禅寺 2

私は小僧として毎月三万円の小遣いをもらい、真福禅寺から四年制の仏教大学に通っていた。三回生として編入したのだが、仏教を学問的にとらえることに疑問を感じ、あまり勉強に身が入らなかった。
それに当時は初めての恋愛に夢中になっていて、小僧としての修行もおろそかになっていた。車を得た私は、後の妻となる彼女との一泊旅行を計画していた。しかし、それは小僧の身分では許されることではなかった。私は、当時指導に通っていた町の剣道教室の合宿があるとウソをつき、彼女と旅行に出かけた。その夜、私は交通事故を起こしてしまった。警察から真福禅寺に連絡がいき、宗覚師がすぐにタクシーを飛ばして駆けつけてくれた。幸い相手の怪我は軽度のものだった。私はさんざんに叱られたが、示談金を支払ってくれたのは宗覚師である。

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