2009年9月12日土曜日

霊場 3

私が師事した阿闍梨は、日本という国が持つ神秘の力を信じていた。私が歩いた道のりを阿闍梨は先に歩いていた。阿闍梨が遷化したあと、私も師匠を見習い、夜空を見上げるようになった。十五夜には月を相手に酒を飲んだ。冬の夜空は北斗七星が高くなるので、毎晩のように星空を見た。星の光は大小さまざまに地上に降り注ぎ、その光の大小に応じた山をつくる。山は地の星なのだ。密教で行う北斗供(ほくとく)の本尊は北斗七星である。高賀山を巡る六つの神社は、高賀山を北極星とした北斗七星を模している。

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