2009年7月7日火曜日

2. 仲間たち 1

二度目に栗山に大学へ連れて行かれたときにも、また逸外老師に会った。
その時、老師は私に「あんたはどこの出身かね?」と訊ねた。
私は「岐阜です」と答えた。 
すると老師は、にこっと笑い「あんた、お坊さんになりんさい」と言った。

この大学への進学を決めたが、私の家にはお金がなかった。
けっして高い入学金ではなかったが、その時私の母がなんとか集めてくれたお金は入学金の半分に満たなかった。
そのことを大学に伝えると、事務局を通して「お金のことは後から考えればええ」という老師の言葉が返ってきた。
入学した後も私は授業料を払うことができなかったが、特に催促されることもなかった。一緒に入学した仲間たちにも学費を納めていない者たちが多くいた。
そこは私と同じように事情を抱えた人間が集まる不思議な場所であった。

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