2009年5月12日火曜日

1. 導かれて 2

その声のことがいつまでも気になっていた私は、実家に帰った折、母にそのことを告げた。
おかしなことを言うと返されると思っていたが、母の返事は意外なものだった。
「それは高賀山のことやろう」と言った。
「高賀山てなんや?」
「洞戸(ほらど)の高賀山やがな」
「実家のある洞戸か?」
「そうや」

両親の実家は岐阜の洞戸(現在は関市洞戸地区)というところにあった。
子供の頃によく訪れた土地だが、高賀山のことはそのときまで知らなかった。
しばらくしてから、岐阜市内にある自宅から車で一時間ほどかけて、その場所を訪れてみた。
国道265号線を板取川に沿って北上すると洞戸村に着く。 
高賀山はその北端にあった。

0 件のコメント:

コメントを投稿