2009年7月13日月曜日

3. 寮の一日 2

日の出の時刻には持久走が待っている。毎日四キロを雨天でも走る。
ときおり持久走の代わりに作務があった。庭の草刈などである。
それが終わって朝食だ。 当番制で学生が作る朝食は粥(しゃく)とよばれお粥よりゆるい重湯(おもゆ)で米粒が数えられた。これに漬物がついて一汁一菜(いちじゅういっさい)だ。

臨済宗では食事も修行の一環なので、楽ではなかった。一切の音を立ててはならないのが戒だった。食事中に話すことはもちろん、粥をすする音、漬物をかむ音、箸を置く音も許されない。
食堂(じきどう)に二回生と一回生が交互に座り、沢庵を噛む音がすこしでもしたら、横にいる二回生の拳骨が飛んできた。私は沢庵漬を食べるのが怖くて、飲み込むようにして食べるようになった。

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