2009年7月22日水曜日

7.大森曹玄老師 4

この日、その場所にいたのは二、三時間ほどであったろうか。高歩院の門を出たとき太陽は西に傾いていて、私たちの影を道に長く伸ばしていた。 
門から出て百メートルほどの路地を老師とお弟子さんたちは私たちと共に一緒に歩いて、そして線路沿いの駅に向かう道にぶつかる角で、お辞儀をして私たちを見送った。私は高名な先生に会えた喜びに、駅への道のりを浮かれた気分で歩いた。
しばらく歩いて、ふと後ろを振り向くと老師とお弟子さんたちはまだ頭をさげ、合掌して私たちを見送っていた。
そして三百メートルほど歩いて、まっすぐな道が途切れて次の角を曲がるときに再び後ろを向くと、老師はまだそこで私たちを見送っていた。
その遠くに小さくなって見えた大森曹玄老師の姿を私はいつまでも忘れることはない。

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